アルジャーノンに豚の生姜焼きを

読んだ方が元気になるブログになるといいなと思います。

【書評】2016年読み返したい2015年読んでよかった本ランキングトップ10 後編

6位から10位はこちらから

 raditz.hatenablog.com

第5位 明日のプランニング  

 

事業会社でマーケティング戦略を担当していた際にかたっぱしからマーケ・メディアの本を読んでいたのですが、個人的に最後まで納得のいく解が見出せず悔いの残っていた「マス」「バズ」「オンライン」を組み合わせた最適解が論じられています。部分部分では理解できていたのですが、全体像がうまく描けておらず、消化不良というか後悔が残っていた自分としては、とてもしっくりきました。

 

WEB・マスなどメディアごとのKPIではなく、最終的な売り上げにコミットしていたため、「コンセプト」「メッセージ」「伝え方」を一連のストーリーでわかりやすく語ってくれる本書は、とても勉強になりました。

 

事業会社が伝えたい情報は、生活者にとって砂浜の一部にすぎない。」と言いきる作者の「伝わらない時代の『伝わる』プランニング」としてモデルはとても納得感がありました。

 

就職活動時にさとなおさんの明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)を読んでマーケティングの世界に興味をもち飛び込んだ自分が、マーケティングから離れるタイミングでこの本と出会えたことがとても感慨深かったです。

 

広報やマーケティング担当はもちろん、営業や管理部門などでなんとなくマーケティングやコミュニケーションに対して苦手意識のある人にもオススメ。新書なので本当にさっくり読めます。なんなら冒頭15分読むだけで大丈夫です。 

 

 第4位 ZERO to ONE 

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか

 

読み終わった後いろんな意味でため息が出た本です。WEB業界に入ることになって勉強のために読んだんですが、テクノロジーの導入が遅い業界とのスピード感の違いだったり、社会課題に向き合う姿勢や説得力に圧倒されました。それまでいた事業会社で掲げていた理念が空虚に感じてしまうほど、テクノロジーによって本気で世界を変えようとしている哲学は圧巻です。

 

「競合のいないところで独占できる事業を立ち上げることに、リソースの全てを注ぎ、成功した後はひたすらイノベーションを目指し続けるのが成功するスタートアップ」であるという趣旨の本。スタートアップが成功するかどうかを判断する7つの観点なども論じられている。

 

個人的にもっとも印象に残っている一文がこちら。

 

浅はかな人間は運を信じ、強い人間は因果関係を信じる。完璧な準備のあるところに勝利は訪れ、人はそれを幸運と呼ぶ。

 

・・・かっけぇ。

 

スタートアップやWEBカンパニーに興味のある人や、マーケティングに限界を感じて事業そのものに興味がでてきたようなオススメです。

 

第3位 究極の鍛錬

究極の鍛錬

究極の鍛錬

 

いろんな自己啓発本で引用されまくっている話題の本。モーツァルトタイガー・ウッズビル・ゲイツなど各界の天才と呼ばれる人に共通するある「訓練法」を研究した本。「才能」というものを全否定し、 練習量や、練習方法がもっとも重要であると主張している。

 

1万時間の法則という有名な話もありますが、なにかを突き抜けるためには、やはり時間が必要なようです。 子供を天才にしたいとか笑、なにかのスペシャリストを目指したいと思っている人にオススメです。

 

第2位 マーケット感覚を身につけよう

 

 「弁護士と医師の待遇の差」「未婚率が上がっている本当の理由とは?」など普通に生活していれば気がつかずに過ぎていってしまうことにも、裏にはきちんとしたカラクリがあります。そのカラクリに鋭く気がつき、しなやかに世の中をわたっていく能力、価値を認識する能力である「マーケット感覚」について書かれている本。変化の激しい社会を生き抜く上での示唆に富んでいます。

 

世の中の裏側がどんな力学で動いているのか?不確定な世の中を楽しんで生きている姿を見せるにはどんな力を持てばいいのか?「難しい言葉で書かれた本が大嫌い」という著者が書いているだけあり、表現もすごく平易でわかりやすいため、高校生でも、活字が苦手な主婦の方でも簡単に読めると思います。

 

個人的には

・変化は恐れるものではなく”楽しむもの”というマインドを持つこと

・世の中の価値を見抜く力をつけること

・市場に試される経験をすること

などの重要性に気がつかれました。

 

自分や家族の将来に抱えている「漠然とした不安」を「ワクワク」に変えてくれる一冊です。「なんとかなる。なんとでもなる。」そんな風に言い切れる力を持ちたいと思っている人にオススメです。

第1位 データの見えざる手 

 

ごちゃごちゃと書いてきましたが、問答無用で圧倒的に面白かったのがこの一冊。

 

ウェアラブル端末の発達により、人間の行動や抽象的な概念がより可視化・数値化できるようになる。それによって例えば個人の幸福度、組織の運営、経済現象などに法則や方程式を見いだすことができるようになり、そこで見えたものによって社会を変えることが可になるということが書かれている本です。

 

・週にたった10分「あること」をするだけで、社員の幸福度が上がり、パフォーマンスが上がる。

・コールセンターの受注率ともっとも強いそう関係があったのは実は「休憩時間のあること」の量だった。

 

など理論だけではなく、具体例に富んでいるため、とてもわかりやすかったです。物理や化学が大の苦手だけど、化学的・数値的な裏付けがないものは信じられない。というワガママな私にとって本当に衝撃的な本でした。

 

人工知能や、ビッグデータというキーワードに対して苦手意識をもってしまいがちなひと、私のようなド文系の人にこそオススメです。

 

2016年は、多読ではなく精読に力を入れる年にしたいなと思います。

【映画】2015年おすすめ映画ランキング トップ5 〜天才の年でした〜

だいたい年間30本〜40本くらい見たんですが、そのうちで特に面白かった5本をランキング形式で紹介します。

 

第5位 アフリクテッド

デレクとクリスというアメリカの若者が、脱サラして世界中を巡遊しながらその模様をブログにアップしていく話。はじめは楽しい青春映画なのですが、ある事件を先にデレクの様子が少しずつおかしくなっていく。普段ホラーは全く見ないんだけど、各映画祭で絶賛されていると聞いて見てみたら、評判通りすごく面白かったです。ぐろすぎず、エグすぎず、それでいて結構ドキドキしつつ非日常感を味わえて結構楽しめました。けど子供に見せちゃダメだと思います。笑




第4位 ジュラシックワールド

これはなんといっても映画館で見るべき映画でした。新宿のIMAXで見たんだけど小さい頃から恐竜好きの自分にはたまらない迫力と臨場感でしたえ。ただ、ちょいちょい挟んでくる恋愛要素はいらないかなと。話逸れてしまいますが、今年できた新宿の東宝シネマズにはだいぶお世話になりました。深夜まで映画やっているので終電逃したときにもオススメです。


 

第3位 グッドウィルハンティング

今更感はありますが、2015年に見たものの中で個人的に大ヒットだったので。天才的な数学の能力を持つが、トラウマのため心を閉ざした青年と最愛の妻を亡くし、生きる気力をなくしたセラピストの友情と旅立ちを描いた、感動の人間ドラマ。 

奥さんを亡くした教授の話がマジで感動します。どんな人生でも前向きに、強く生きていくための示唆に富んだ映画。悪い友人たちも最後に泣かせるええ話。元気になりたいときにオススメです。

 

第2位 博士と彼女のセオリー

天才物理学者として将来を期待されるホーキングはケンブリッジ大学大学院に在籍中、詩について勉強していたジェーンと出会い恋に落ちる。その直後、彼はALS筋萎縮性側索硬化症)を発症し余命は2年だと言われてしまう。それでもスティーヴンと共に困難を乗り越え、彼を支えることを選んだジェーンは、二人で力を合わせて難病に立ち向かっていく。

何がいいって、闘病系の話にありがちなお涙頂戴の美談だけで終わらないところです。この二人をサポートするもう一人の男性が出てくるんだけど、その男性とジェーンの関係性こそが人間ドラマであり、この映画の一番面白いところだと思います。そして女優がとんでもなくカワイかった。最後のシーンの一言、「僕たちの●●だ」がまぁ泣けます…!奥さんや彼女と見るのもいい話だと思います。

 



  

第1位 イミテーション・ゲーム

文句なしの一位です。第二次世界大戦中、暗号解読のために集められた天才数学者であり、現在の人工知能の礎を築いたと言われるアラン・アランチューリングナチスの暗号にたちむかう物語。「ただただ難しい問題を解くことが大好き」という変わり者と周りの人間関係も面白いし、世界を救うために民衆を犠牲にするべきか、答えのない問題に立ち向かう姿に感動しました。きっと理系の人とか、文系でも探究心があるタイプの人だとすごくワクワクしながら見られると思います。


振り返ると、偶然かもしれませんが、1位から3位まで全部天才の人が主人公の話でした。

アクション好きじゃないので見てないけどマッドマックスとかすごい流行ってましたね。あとセッションも面白かったです。

 

これまで映画は何も考えず見ていたんですが、2016年は映画の見方をきちんと体系的に理解していく一年にしたいな〜と思います。

【書評】2016年読み返したい2015年読んでよかった本ランキングトップ10 前編

昨年およそ100冊くらい本を読んだかと思うのですが、その中でも特に秀逸だった本を紹介します。

 

10位:なぜ日本人は、こんなに働いているのにお金持ちになれないのか?21世紀のつながり資本論

以前からホリエモンが言っていて、自分のなかで納得感の高かった「お金=信頼」という概念をより分かりやすく、世界一周を舞台に具体的に説明している本。これからの自分の働き方、生き方、お金との向き合い方を改めて考えさせられた。世界中のいろんな価値観に触れながら読み進められるのが面白く、印象に残っている。1時間もあればさくっと読めてしまうところもいい。

 

自分や家族の数十年後を見据えた時に、何を残すべきか?を考えることが多い人にオススメ。

 

9位: 絶歌

出版をめぐり賛否両論があった本。紹介することに抵抗がある本だけど、価値観を大きく揺さぶられた一冊であることは事実。出版の是非についていろいろ思うところはあるのだが、一番印象に残っているのは、少年Aの弟から少年Aに向けて書かれた手紙の部分。

 

少年Aの弟が「自分の力を超えた不条理以外のなにものでもないこと」を受けとめ、それでも生きていこうとする姿勢に心の底から、感動した。だれかも言っていたけれど、被害者にも、加害者にもなりえるのが現実社会。そのなかで生を与えられた存在として、「自分は生を全うし、幸せに生きる、誰かを幸せにする義務がある。」と強く思わされた一冊だった。

 

目の前のことに忙殺され、当たり前の幸せを見失いつつある人にオススメ。 

絶歌

絶歌

 

 

8位:なぜ、この人と話をすると楽になるのか

個人的なことになってしまうのだが、会話中、議論好きのせいか必要以上にマウントをとろうとしてしまうところや、「理屈っぽい」と言われてしまうことに常々自己嫌悪と課題感を感じているときに手に取った一冊。「人見知りしない」ということを自分の武器としてより活かしていくために、会話の楽しさを意識的に訓練するということに興味があったため、とても勉強になった。

 

・「会話は協力型のゲームであり、二人が楽しくなったら勝ち」

・優位に立とうとしない3つのテクニックである「褒める」「驚く」「おもしろがる」

・会話のなかで相手に気持ちよく「ドリブル」させる。

 

などなど発見がたくさんあった。読んだ後、改めて人とのコミュニケーションを俯瞰で分析してみたり、実践してみるとさらに面白い。当たり前だけど、カットインされまくるとうざいな〜とか、この人自分の話ばっかしてるな〜とか。

 

話し下手だったり、初対面の人間と話をするのが苦手だなぁと思うことがある人にオススメ。 

 

7位: 職業としての小説家

職業としての小説家 (Switch library)

職業としての小説家 (Switch library)

 

 

村上春樹のエッセイ集。一番感心したのは村上春樹が、小説家にありがちな「書きたいけど何を書いたりいいのかわからない」といった類のスランプを一切作らない仕組み作りをしていること。

 

小説は書きたいと思ったときに書き、それ以外のときは翻訳やエッセイによってうまく自分のポートフォリオを組みつつ、書きたくなる時まで待つ。このやり方は、未来の自分の働き方にとって、とても示唆のあるものだった。

 

一つの作業を続けるというのはどうしても忍耐力を必要とし、活動自体が楽しくなくなりがち。そこを避け日々楽しく生きていくためのポートフォリオを、いかに仕組みとして作れるかが重要だと感じました。

 

そのほかにも、 

・小説を書くというのは、「たとえば」を繰り返す作業である

・小説家が芸術家である必要はない。芸術家である前に自由人であるべき

・読書によって視野を相対化することが10代の自分にとって一番意味があった

などなどとにかく金言の嵐。大学時代に村上春樹の例えをノートに抜き書きしていたことを思い出しました。村上春樹は賛否両論ありますが、僕にとって、彼の文章に触れている瞬間はとても幸せな時間であることは間違いありません。

 

思考が行き詰まったり、少し視点を変えてものごとを考えたいな〜と思った時にさっと気分転換で読むのにもオススメ。合わせて今年出たラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集も旅行気分を味わせて合わせてオススメ。

 

6位:大前研一 日本の論点2016〜2017

ビジネスのシーンや、日常のコミュニケーションにおいて「ああ、この人頭いいなぁ」と思う人は自分で物ごとを考えられる力がある人。どこかで聞いたことがあるような話ではなく、一定の根拠をもちながらも、「思考の独自性」がある人に惹かれる。

 

おそらく日本で最もその力のある人の一人である大前研一さんが、国内外の社会情勢をわかりやすく解説してくれている本。物事を構造的に説明してくれるため、「なるほど、そうだったのね!」と納得感がすごくある。

 

アベノミクスって要はいいの?悪いの?

・なぜ沖縄から基地がなくならないか?

・日本の農業って今後どうするべきなの?

 

などなど、ニュースなどを聞いていても、いまいち問題の構造がつかめず「ああ、そんなこともあるよね」で済ませていた問題が、「問題の根本はここ、だからこうすべき、もしくはこうなっていく」などが自分の言葉で少し語れるようになる。構造的な考え方を勉強するケーススタディの材料としてもいいし、たぶん取引先との会話や、飲み会での会話にしれっとはさむだけでも「あれ、こいつ頭よくね?」と思われると思うw

 

ニュースをみても「なんかやばいな〜」としか思えない自分自身こそがやばいのかもと思っている人にオススメ。

大前研一 日本の論点2016〜17

大前研一 日本の論点2016〜17

 

 

5位〜1位はこちらから。

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