【書評】2016年読み返したい2015年読んでよかった本ランキングトップ10 後編
6位から10位はこちらから
第5位 明日のプランニング
明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 (講談社現代新書)
- 作者: 佐藤尚之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/05/20
- メディア: 新書
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事業会社でマーケティング戦略を担当していた際にかたっぱしからマーケ・メディアの本を読んでいたのですが、個人的に最後まで納得のいく解が見出せず悔いの残っていた「マス」「バズ」「オンライン」を組み合わせた最適解が論じられています。部分部分では理解できていたのですが、全体像がうまく描けておらず、消化不良というか後悔が残っていた自分としては、とてもしっくりきました。
WEB・マスなどメディアごとのKPIではなく、最終的な売り上げにコミットしていたため、「コンセプト」「メッセージ」「伝え方」を一連のストーリーでわかりやすく語ってくれる本書は、とても勉強になりました。
「事業会社が伝えたい情報は、生活者にとって砂浜の一部にすぎない。」と言いきる作者の「伝わらない時代の『伝わる』プランニング」としてモデルはとても納得感がありました。
就職活動時にさとなおさんの明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)を読んでマーケティングの世界に興味をもち飛び込んだ自分が、マーケティングから離れるタイミングでこの本と出会えたことがとても感慨深かったです。
広報やマーケティング担当はもちろん、営業や管理部門などでなんとなくマーケティングやコミュニケーションに対して苦手意識のある人にもオススメ。新書なので本当にさっくり読めます。なんなら冒頭15分読むだけで大丈夫です。
第4位 ZERO to ONE
読み終わった後いろんな意味でため息が出た本です。WEB業界に入ることになって勉強のために読んだんですが、テクノロジーの導入が遅い業界とのスピード感の違いだったり、社会課題に向き合う姿勢や説得力に圧倒されました。それまでいた事業会社で掲げていた理念が空虚に感じてしまうほど、テクノロジーによって本気で世界を変えようとしている哲学は圧巻です。
「競合のいないところで独占できる事業を立ち上げることに、リソースの全てを注ぎ、成功した後はひたすらイノベーションを目指し続けるのが成功するスタートアップ」であるという趣旨の本。スタートアップが成功するかどうかを判断する7つの観点なども論じられている。
個人的にもっとも印象に残っている一文がこちら。
浅はかな人間は運を信じ、強い人間は因果関係を信じる。完璧な準備のあるところに勝利は訪れ、人はそれを幸運と呼ぶ。
・・・かっけぇ。
スタートアップやWEBカンパニーに興味のある人や、マーケティングに限界を感じて事業そのものに興味がでてきたようなオススメです。
第3位 究極の鍛錬
いろんな自己啓発本で引用されまくっている話題の本。モーツァルト、タイガー・ウッズ、ビル・ゲイツなど各界の天才と呼ばれる人に共通するある「訓練法」を研究した本。「才能」というものを全否定し、 練習量や、練習方法がもっとも重要であると主張している。
1万時間の法則という有名な話もありますが、なにかを突き抜けるためには、やはり時間が必要なようです。 子供を天才にしたいとか笑、なにかのスペシャリストを目指したいと思っている人にオススメです。
第2位 マーケット感覚を身につけよう
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
- 作者: ちきりん
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「弁護士と医師の待遇の差」「未婚率が上がっている本当の理由とは?」など普通に生活していれば気がつかずに過ぎていってしまうことにも、裏にはきちんとしたカラクリがあります。そのカラクリに鋭く気がつき、しなやかに世の中をわたっていく能力、価値を認識する能力である「マーケット感覚」について書かれている本。変化の激しい社会を生き抜く上での示唆に富んでいます。
世の中の裏側がどんな力学で動いているのか?不確定な世の中を楽しんで生きている姿を見せるにはどんな力を持てばいいのか?「難しい言葉で書かれた本が大嫌い」という著者が書いているだけあり、表現もすごく平易でわかりやすいため、高校生でも、活字が苦手な主婦の方でも簡単に読めると思います。
個人的には
・変化は恐れるものではなく”楽しむもの”というマインドを持つこと
・世の中の価値を見抜く力をつけること
・市場に試される経験をすること
などの重要性に気がつかれました。
自分や家族の将来に抱えている「漠然とした不安」を「ワクワク」に変えてくれる一冊です。「なんとかなる。なんとでもなる。」そんな風に言い切れる力を持ちたいと思っている人にオススメです。
第1位 データの見えざる手
データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則
- 作者: 矢野和男
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2014/07/17
- メディア: 単行本
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ごちゃごちゃと書いてきましたが、問答無用で圧倒的に面白かったのがこの一冊。
ウェアラブル端末の発達により、人間の行動や抽象的な概念がより可視化・数値化できるようになる。それによって例えば個人の幸福度、組織の運営、経済現象などに法則や方程式を見いだすことができるようになり、そこで見えたものによって社会を変えることが可になるということが書かれている本です。
・週にたった10分「あること」をするだけで、社員の幸福度が上がり、パフォーマンスが上がる。
・コールセンターの受注率ともっとも強いそう関係があったのは実は「休憩時間のあること」の量だった。
など理論だけではなく、具体例に富んでいるため、とてもわかりやすかったです。物理や化学が大の苦手だけど、化学的・数値的な裏付けがないものは信じられない。というワガママな私にとって本当に衝撃的な本でした。
人工知能や、ビッグデータというキーワードに対して苦手意識をもってしまいがちなひと、私のようなド文系の人にこそオススメです。
2016年は、多読ではなく精読に力を入れる年にしたいなと思います。