僕が何度も心を救われた10分のエクササイズ。『自分で心の手当てをする方法』が素晴らしいから紹介する。
前回の記事では就活生向けに「負のスパイラル」から抜け出すためのエクササイズを紹介してきました(就活生にこれだけは伝えたいこと3「負のスパイラルは自分で止めよう」 - アルジャーノンに豚の生姜焼きを)。
ただ、今回の話は就活生に限らずだれにでも使える知識だと思いますのでタイトルを少し変えました。
『自分で心を手当てする方法』がすごく役立つ。
「強い心を持とう!」「ポジティブになろう!」という自己啓発書は世の中に溢れかえっていますが、その多くは科学的根拠のないスピリチュアルなもばかり。あるいは筆者がかなり特殊な経歴や経験をしていて、「それはあなただからできたのであって、僕たち一般ピーポーには応用できないだろ…」というようなものが多いと思う人は僕だけではない思います。
今回紹介するエクサザイズのもとになっている本は、エビデンスに裏打ちされており、かつ実際のエクサイズにまで落とし込んでくれているため、役立ち感が群を抜いてます。TEDで370万回再生を記録した、ニューヨークで大人気の心理学者が書いた本を紹介させてください。
私がぐだぐだ説明するより、これ見た方が早いかもしれない。。
この本では、
「失敗や拒絶というのは、心の風邪みたいなもの。放っておいておくと治るものも治らない。擦り傷に対して消毒して絆創膏を貼るのではなく、気がつかずに化膿するまで歩き続けるようなもの。」
と主張し、脳科学や実験に基づいた心の傷の治し方を紹介しています。
そのなかで、私の経験を踏まえ、抜群の効果があった2つのエクササイズを紹介します。
自己否定を言い負かすエクササイズ
「自己否定に反論するエクササイズ」を紹介します。このエクササイズは自分が就活をして入る際に第一志望に落ちてしまったときや、大事な仕事で成果を出すことができなかったときにやってみるととても効果的でした。
1 自分に対する批判やネガティブな考えを、紙に書きだす。
2 1で書いた考えに対して、それとは違う可能性を紙に書いてみる(ひとつの批判に複数の反論を書いてもOK)。
3 否定的な考えが頭に浮かぶたびに、2で書いた反論を頭のなかで復唱する
具体的に説明していきますね。
例えば、第一志望だった面接に落ちてしまった状況を想定しましょう。
浮かんでくる自分への批判として「自分は能力が足りなかったのではないか」、「自分の準備が足りなかったのではないか」などなど。終わったことを考え始めて自己嫌悪に陥ってしまう負のスパイラルの入り口です。
そこで、自分への批判への反論をそれぞれ3つずつひねり出します。例えばこんな感じ。
「自分は能力が足りなかったのではないか」への反論
・能力の問題ではなく、相性の問題だった場合、この悩んでいる時間は無駄にならないか?
・求めている人間がソルジャーのような人物を想定してたとしたら、自分が採用されなかったのはむしろポジティブじゃないか?
・自分のすべてを伝えてそれでもなお評価されないのだとしたら、きっとその会社にいっても幸せにならないのではないか?
「自分の準備が足りなかったのではないか」への反論
・逆に言うと「準備さえしておけば、受かった」ということ。コントール可能なところまで自分を高めることができていたのではないか?
・仮に本当に準備が重要なパラメーターなのだとしたら、今後も自分より優秀な人間に対しても準備の量で上回ることができるということの証明なのではないか?
・必要な準備の量や質を見立て間違えていたのだとしたら、ここで気がつけたのはむしろポジティブなことなのではないか?長い人生を考えたときに、これが準備不足で後悔する最後の瞬間にできるとしたらどれほど人生にプラスだろうか。ノビシロですね!
私もよくやりますが、このエクササイズ、本当に効くんですよ。いろんな角度から事実を捉え直す癖がつくので、ちょっとやそっとで凹むことがなくなります。
失敗から意味を見出す重要性
僕は就活時とても行きたかった会社が3つほどありましたが、残念ながらその3つの会社には落ちてしまい、入ることができませんでした。
新卒で入社した会社で5年働いた後、今はそのうちの一つの会社に縁があり中途入社し働いています。
新卒で今の会社に入った人と仕事をすることもあるのですが、「あ、最初からこの会社入らなくてよかった」と思うことが何度もあります。
僕が新卒で入った会社は、新人のころからマーケティングの部署に配属してくれて、1年目から予算・裁量とセットでマーケティングの基礎を叩き込んでくれました。
そしてそれはいまでも大きな武器になってます。それは今の会社ではきっと経験できなかったことですし、むしろ落としてくれてラッキーとすら思ってます。
他の2つの会社はいまでは入りたいとは思いませんし、もう一度人生巻き戻すことができその2つの会社から内定が出たとしても、「新卒で入った会社に入ったほうがいいよ。」とアドバイスすると思います。
長々と書いてきましたが、「人間万事塞翁が馬」なのです。これは私のポリシーでもあるのですが、「何が幸せにつながるかはわからない、終わったことをクヨクヨするくらいなら、未来の行動に集中せよ」という中国のことわざです。
中国の北の方に占い上手な老人が住んでいました。
さらに北には胡(こ)という異民族が住んでおり、国境には城塞がありました。ある時、その老人の馬が北の胡の国の方角に逃げていってしまいました。
この辺の北の地方の馬は良い馬が多く、高く売れるので近所の人々は気の毒がって老人をなぐさめに行きました。
ところが老人は残念がっている様子もなく言いました。「このことが幸福にならないとも限らないよ。」
そしてしばらく経ったある日、逃げ出した馬が胡の良い馬をたくさんつれて帰ってきました。
そこで近所の人たちがお祝いを言いに行くと、老人は首を振って言いました。「このことが災いにならないとも限らないよ。」
しばらくすると、老人の息子がその馬から落ちて足の骨を折ってしまいました。
近所の人たちがかわいそうに思ってなぐさめに行くと、老人は平然と言いました。「このことが幸福にならないとも限らないよ。」
1年が経ったころ胡の異民族たちが城塞に襲撃してきました。
城塞近くの若者はすべて戦いに行きました。
そして、何とか胡人から守ることができましたが、その多くはその戦争で死んでしまいました。
しかし、老人の息子は足を負傷していたので、戦いに行かずに済み、無事でした。
この故事にあるように、何が幸せにつながるかなんて、人間にはわからないものなのです。逆に言うと今仮に幸せだとしてもそれが不幸につながるかもしれない。ただひたすらに現実を受け入れベストを尽くすことしか僕らにはできないのです。
失敗から意味を見出すエクササイズ
前置きが長くなってしまいました。この考えにぴったりのエクササイズがあるので、紹介します。これも私はよくやります。
うまくいかないことがあったとき、これ10分やるだけで気分がすっきりし、その後の行動が劇的に変わるので、ぜひ一度やってみてください。
就活という場面だけでなく、恋人にふられたとき、大きな失敗をしたとき、自分をどうしても許せなくなったとき、色々な困難な場面できっとあなたを救ってくれると思います。
まず、10年後の自分を想像してください。 10年後、あなたはこれまでに、何かすばらしいこと(なんでもいいです。あなたが成し遂げたい夢を想像するといいと思います。)を成しとげました。その10年を穏やかな気持ちで振り返っています。そのときの気持ちを想像して( )を埋めてみてください。
1 10年前には、あんな悲しいできごとが( )につながるとは想像もできなかった。
2 自分がやってきたことは、とても大切なことだと思う。なぜなら、( )
3 現在の道を選んだきっかけは、( )。
4 こうしてうまくいったのは、人生の優先順位を( )というふうに変えたから。
5 優先順位を変えたおかげで、次のような変化が起こった。( )。
6 そして自分の人生の目的が( )であることに気づいた。
実際にやってみることが重要です。五分もあればカンタンにできるので、コピペしてスマホで( ). に自分が思うことを打ち込んでみてください。
いかがだったでしょうか?就活生向けについて書いてきたシリーズですが、今回はすべての人にオススメのエクササイズを紹介しました。
本にはその他多くの科学的に実証されたいろいろなエクササイズ法を紹介しており、「今後の人生で凹むことなんてない!」と言い切れる人以外にはオススメできる一冊です。とくに今後就活を迎えるかたは、変な就活本をかうよりはよっぽど役にたつと思いますよ。負のサイクルに陥いらないために御守り代わりに手元に置いておきましょう!